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暗黙狂想曲

 電車に乗っていると、うとうとと船をこいでる人をよく見かける。
 仕事帰りの程よい疲れと、電車に揺られる振動で、気持ちよさそうに寝入っている。
 うわさによると、電車の中でああも平和に居眠りできるのは日本人くらいなもんだそうだ。
 以前パリとニューヨークで地下鉄に乗ったが、たしかにいわれてみると、海外であったというのもありはしたが、居眠りするような雰囲気ではなかった。
 日本に話を戻して。朝に満員電車にのれば、目の前にあるキレイに着飾ったOLの背中越し、肩掛けかばんがパックリ開き、スってくださいとばかりにサイフがしっかり見えている。
 かように日本はいまだ、平和ボケした国である。

 キムタケさんのところで、空のつぶやきさんから寄せられたトラックバックを大々的に取り上げていた
 曰く、

ここの出だしの「金融機関でSEをしている人の多くは、インターネットバンキングなんて使っていないんじゃないかな」というのが、その後の展開を予感させていてナントモいいですねぇ。インターネットバンキング・システムの開発担当になると、じつは、怖くて、インターネットバンキングなんて使えないのかもしれません。

 とのこと。

 今は暗号化が割としっかりしているので、私はインターネットバンキング使っている。
 しかし少し前までは、ネットで個人情報を流すなんてトンデモナイというのは、SEやSEから情報をもらえた一般ネットワーカーには割と常識だった。
 インターネットの情報流通は基本的に平文送信(暗号化してない、そのまま生データを送っているの意)で、バケツリレー式にたくさんのマシンを仲介して行われているので、その途中でデータを記録していれば、ドコのマシンからどんなデータが流れているかダダモレ状態だからだ。
 回覧板方式といったほうが理解がしやすいか。回覧板に封もしない状態で社員の給与明細が添付されていて、モラル的に他人の給与明細は見ないとはなってるけど、見ようと思えば見たい放題、みたいな。インターネットのデータの流れ方は概ねそんな感じだ。
 ちなみに今でもメールは平文なので、住所とか送受信するのは、ハッキング前提なら危険であるのは変わりが無い。
 メールは一般的に暗号化してはいないため、今も相変わらずダダモレ状態である。
 情報ダダモレといっても、たとえば宅配業者や郵便関連は、ドコに誰が何を送っているかをこっそりモニタすることも可能であろうし、カード番号にしても、お店でカードで買い物した時に悪い店員に番号を控えられ、2年後くらいにいきなりその番号で何か買い物されたとしたらどうか。犯人追跡は難しくないだろうか。
 私の会社の後輩で、電車でサイフを忘れたら、一日も待たずに数十万円も買い物され、その買い物をした店に警察と一緒に行って話を聞いたら、裏に記名してたにも関わらず、買い物していたのは中近東系の人だったのにチェックもなかったとのこと。
 かように、ネットが危なくてリアルの手順なら安全なのかってわけでもなく、それこそリスクと利便性のトレードオフな問題だと考える。

 二月よりBSE関連でアメリカから牛肉が輸入ストップになっている。
 たまに食べると豚丼の味気なさに、牛丼がひたすら恋しくなる。
 狂牛病が発症と報道されると、さーーーーっと潮を引いたように、牛肉売り場から人が引く。
 去年末の狂牛病騒ぎのときもすごかった。つぶれた焼き肉屋も多かったと聞く。
 鳥インフルエンザのときも、うちの食卓から鶏肉が消えた。
 これは日本人が食事に関して敏感で、潔癖であるからだとか言われているが、はたしてそれだけだろうか。
 狂牛病隠しや鳥インフルエンザ隠しの報道を見て、“表に出てないだけで、似たようなケースはたくさんあるのでは”と思った人が結構多いのではなかっただろうか。
 だからどんなに“問題の業者以外は大丈夫”と報道が出ても、誰も信じずに買い控えがでたのではないか。
 ファーストフードの○○○は肉にミミズをつかっているといった都市伝説的なものから、官官接待のようなものまで、“露見すればああやっぱりと思うが露見するまで知らんぷり”的なものは、誰も彼も身に覚えがあるから、ああいう過敏な行動にでるんじゃないか、と思ったりした。
 電車で居眠りできるほど平和ボケしている私達が、騙されるには異様に神経質だと思ったりするのだ。
 それはとりもなおさずみんなが騙しているから。
 試行錯誤・実験場さんおっしゃるように、

担当レベルでは、相当にやばいから早く対応しろとアラームをあげていても、上は実際に大事が起きないと対応しない。

 なんていうのはよくあることで。
 しかし社外秘という問題もあったりするし、そんなこんなで知ってることを言わずに黙っているのも、人を騙してることに変わらないからと思ったりすると、とたんに怖くなったりするのだ。

 狂想曲(ラプソディ)とは、作曲者の自由な幻想を自由な形式で表した叙事的、民族的性格の強い器楽曲のことをいうそうだ。
 日本国民の皆々様方が、思い思いに心に留め置き秘める、多種多様な暗黙の狂想曲。
 その一部がキムタケさんのブログに集い、懐の広い山の穴へ“王様の耳はロバの耳ぃ~”と本音を漏らす。
 御身にお気をつけめされませ。

 …ところで、王様の耳はロバの耳のラストって、結構意外な結末があるらしいですよ(笑)

P.S.木村サマ
 毎度トラックバック頂きありがとうございます。
 最近ちゃんとお礼を言えず、心苦しく思っておりました。^_^;
 気持ちがほのぼのする、といっていただいてとても喜んでおりました。
 しかし今回のはちょっとブルーかも。^_^;すんません。

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Comments

>ken_zou さん

 いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。^^
 リスクに関する話題は、難しいと思いますよねぇ。
 “危険なことがいやならしなければいい”、という発想は、突き詰めれば“生きていくのがつらいなら死んでしまえばいい”とあまり変わらないので、どこらへんで自分の納得できるオチをつけるかという話だと思うんですよ。^^;

Posted by: Tinkle | 08/27/2004 at 13:58

TBたどって来ました。どうもです。
リスクをどの程度ヘッジするのかってなかなか難しいですね。突き詰めればどんどん別のリスクも発見されるし。
やっぱ、“あつものとなますの吹き加減”って事でしょうか。
「ラプソディー・イン・ブルー」な感じです。

Posted by: ken_zou | 08/26/2004 at 23:22

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